台風直撃の、サンタナの過ごし方。

ナマステー。プリー・サンタナロッジの翔です。
嵐の影響で今日までインターネットに接続ができない状態でした。
この間にご連絡等いただいたお客様にはご不便おかけ致しました。
現在はサンタナロッジ、ホテルサンタナ共に通常営業中です。



オリッサ州に巨大台風襲来。
初め、その一報を聞いた時点では、
「台風か〜、なんかワクワクするな〜。丸1日くらい停電するかもしれないけど。」
などと呑気に構えていました。それがまさか、あんなことになるなんて・・。



10月11日

インド南部で発生し、勢力を強めながらベンガル湾に沿って迫りくる台風。
プリーが暴風域に入る、その前日。
『南方向より台風接近。直撃コースです。』※
街中では役所の車が拡声器で警戒を喚起してまわり、沿岸部の漁村―簡素な住居が多い―では
『回避間に合いません!総員、退避してください!』
と避難勧告まで出ているではありませんか。


※オリヤ語→日本語翻訳ソフトウェア:sho no-miso 1.0



高波が市街地にまで達する恐れがあるとのことで、漁村の住民は市の建物に避難。


漁村から避難した住民たち


サンタナロッジも床下浸水に備えて、食料や調理機器、電化製品、1階に住むスタッフの荷物などを2階、3階に運びました。
電力を断たれると給水タンクのポンプも止まってしまい、水が出なくなってしまいます。
バスタブ、バケツ、空のペットボトルに水を溜めて長時間の停電に備えました。
ただ、サンタナロッジではバックアップ用バッテリー電源を備えています。ちょっとくらいの停電では、コンセント部分は使えなくなりますが、
水道や照明はノープロブレムなのです。


その日の夕方くらいから風雨が強まり、一時停電するも、まあそれはいつものことで、夜中まで水も電気も通常通り使用できたのでした。
この時、ロッジのお客さんは11人。スタッフは日印各3人の計6人。



ロッジの屋上から



10月12日

朝起きると停電。暴風雨。電話も固定・携帯共に繋がらず。
日中、雨は時々弱まりますが、風は吹き荒れています。
屋上からは、周辺住宅の藁ぶきの屋根が吹き飛んだり、樹木が倒れたり傾いたりしているのが見えます。
そして、な、波の高さが尋常ではなひ!
嵐のピークはその日の夕方以降とのことで、こりゃ本当にロッジまで海水が来るかも。。


ロッジの屋上から。写真ではかなり分かりにくいですが、↑がこの日の波。↓がいつもの波。


ロッジ内も、吹きさらしの共用スペースなんかは雨でびっちゃびちゃ、風で張り紙もごみ箱も吹っ飛んでめっちゃくちゃ。


この後、天井の飾りつけは全て吹っ飛ぶことに


「ぎゃー!“いいね!”できなーい!」
「嫌ぁー!ラインが繋がらなーい!」
「Noooo!ビールが冷えない!」
「はわわわ〜スピーカーが使えなーい!」


阿鼻叫喚。地獄絵図。文明退化。


バックアップ電源も落とし、水もシャワーの使用は控えていただき、トイレの使用のみに。ご不便おかけ致します。。
食堂と調理場は1階にあるため浸水の恐れがあり、夕食は3階のドミトリールームを緊急調理場にして作りました。
各部屋の照明ももう使えないため、緊急食堂前の、多少風雨が吹き込んでこない方の共用スペースに集まって食事。
食材も調理器具も限られているため、皆でマサララーメン。


緊急調理場となったドミ。撮影時フラッシュを焚いたので、実際はロウソクの明かりだけ


風通しの良いテーブル席です



10月13日

風はまだ強いですが、台風の中心は過ぎ去りました。
この日から電気が復旧するまで毎日

「今日の夕方に復旧する」

と聞きました。いろんなインド人から。オオカミ少年。ウソップ。


外の様子を見に通りや漁村、ビーチを歩いてみましたが、
竹を紐で縛った骨組みに藁ぶきの屋根などの簡素な店舗や住居は倒壊しているものもあり、
海辺の家はレンガ造りのモノも高波で土台を流され崩壊していました。3匹の子豚、全滅。
ロッジの外、プリーの町の様子はまた次回のブログにて。


ロッジの屋上から



いよいよバックアップバッテリーも無くなり、明かりはロウソクのみ。街中ではロウソクが高騰していたそうです。
トイレ用に隣の家の井戸から水を汲んで来て、クーラーボックスとバスタブに溜めておきました。
電力も燃料も必要としない、貴重なバックアップ水源です。
ホテル・サンタナは発電機を備えているので、空き部屋のシャワーをロッジのお客さんに使ってもらうことに。


児童労働の現場監督のN樹氏(写真右)


ムードのある食堂



10月14日

天候はすっかり穏やか・・まあ、インドであるため暑いですが、風雨は収まっています。ただし電気復旧の見通しは立たず。

「今日の夕方に復旧する」

オオカミ少年


チェンナイ等、南へ向かう電車はすべて運休。コルカタ、バラナシ、デリー等、北へ向かう電車は動いているとのこと。
何人かのお客さんは駅へあるいは旅行代理店へ足を運び、オリッサ州から脱出を図るものの、
通信手段が途絶えていて、銀行・ATMも機能していないため、そしてインドであるため、あれやこれやと難航していました。
それでもなんとかチケットを取り、続々と脱プリーの段取りを付けるお客さんたち。
商売話になってしまいますが、食事メニューや販売物も制限され、お客さんも減り、うーむ、こりゃ痛い。
ローシーズンなので受ける打撃も最小限ではありますが。
夜、街中のクラクションが途絶えると聞こえてくるのは波の音だけ、人工の明かりが無いため月がきれいに見えます。



10月15日

停電4日目。昨日より気温が高いです。
午前中に3人チェックアウト、お客さん残り8人。
発電機を借りて来て、なんとか給水タンクに水を溜め、洗濯もできました。
ご不便おかけしているお客さんたちには心苦しい限りではありますが、
ワタクシなんかは逃げも隠れもできないので腹を括っているためか、あるいは業務も限られるため、
実は結構お気楽。そのうち電気も水も復旧するわけだし、無いものは無いで無いなりの生活をするだけのこと。

「今日の夕方に復旧する」

夜は愈々、やることが無いです。読書も麻雀も出来ない、
暗闇の中ゲッコーが蛍を捕まえているのをボケーッと観ながら、眠くなるのを待つだけ。
この状況、自然災害と呼ぶことも出来るでしょうけれど、ロッジもお客さんも深刻な被害があるわけではありません。
文明の眩しさや騒がしさが吹き飛ばされて、跡に残っているのは月明かりと海の音だけ、
ンケーイ、ノープロブレム、電気来たらず未だ無い、嵐過ぎ去りもう無い、そうだ今が最高にゆっくり眠れる時ではないか。
明日目が覚めるまで、おやすみなさい。OM SHANTI..



暑くて眠れん。
こりゃ深刻だ。
お願い、ファンを動かすだけでいいから、早く文明の光をくれ!

―ギラギラと輝いた この街も悪くない
 『STORM』/LUNA SEA



10月16日

停電4日目。快晴、無風。
ロッジ内のどこにいても暑いです。井戸水で洗濯をして、汗の染み込んだ寝具も日干しに。
電気が戻らないと、今夜はさらに寝苦しくなりそうです。
「今日の夕方に復k
フッキュー!もうええわ、テキトーなこと言うくらいなら何も言わんでくれ!


昼間、通りを歩いていると、電気の復旧工事と見受けられる作業が行われていました。
町の中心地、ジャガンナート寺院があるグランドロード周辺は既に復旧しているそうです。
もう直線距離にして数十メートルの所まで工事が進んできています。
きっと今日こそ、本当にオオカミは来る、でも家は吹き飛ばさないで!


しかし。日が暮れてもロッジに光は戻らない。見ると、直線距離にして数十メートルの所までは、家や店に明かりがともっているのです。


インドの経済的上層に属する人たちは、庶民やスラムから隔離され殆ど独立したコミュニティーに住んでいるそうです。
ワタクシなんかは警備員に立ち入りさえ阻まれるエリアです。周りの住宅街が停電で真っ暗な時でも、
そのエリアだけは煌々と明かりが輝いているそうです。


目の前に、我々が、渇望しながらも、手に入らない、それが、目の、前、に・・

拝啓 親愛なる復旧作業員様、勝手を承知で申し上げさせていただきます、もうちょっとだけ頑張ってほしかった。



夕食後、2人チェックアウト。残ったお客さんは6人。1人、また1人と減ってゆく。明日は自分の番かもしれない、などと考えていると、
何の前触れもなく電灯が点きスイッチを入れっぱなしのファンが回り出しました。おお、ついに!
その感激、思わずサンタナ犬・モッティ―とハイタッチをしようとしたのだけどお手しかできなかったほどです。
G-job,作業員様様!



今回のような規模の台風は実に14年ぶりで、その時は1週間停電が続いたそうです。
14年の歳月は、停電期間を2日短縮しました。良きことはカタツムリの速度で動く―マハトマ・ガンディー。
マーフィーの法則」のような重みのある言葉です。



10月17日以降〜

インターネットの復旧はそれから更に1週間を要したものの、電気も水も戻り、日本料理もOK,親切で愉快なサンタナロッジの再始動です。
まだまだ季節の変わり目、雨の日が多いですが、だいぶ涼しくなってきました。宿でゆったり過ごすのに良い時期かも知れません。
来たれ、旅行者。ちょっと一休みに。そしてバンバンお金使ってください。


電話も繋がるようになって、日本に行っているオーナー・フォクナ氏からロッジに電話がかかってきました。
オリッサ州を巨大台風がすっぽり覆ってしまったことはフォクナ氏も知っていて、5日間音信不通になっていたのだ、
ロッジのオーナーとしてカレーも喉を通らなかったことでしょう。
もしもし、それなりに大変だったけど、みんなちからをあわせて、乗り切りました!


フォクナ氏
「もしもし〜。サンタナ流されちゃえば良かったのにー。
そしたら私帰らなくて済むね〜うひひ。」




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