日本とインドと私

藤原です。コルカタのブログはしばらくの間、私が担当します。


これはコルカタに限った話ではありませんが、インドの街を歩いていると、
働きもせず昼間からその辺をブラブラしている人をよく見かけます。


昼間どころか朝から人とおしゃべりをして時間をつぶしたり、
輪になってトランプをしている光景は外に出れば毎日見ることができます。
この人達はいったい何をして生計を立てているのでしょうか。


労働に対する考え方は、インド人と日本人では相当に隔たりがあり、
私のような知識も理解力もない日本人には、よくわからない人々となっています。
さすがに無職ということはないと思いますが、いやしかし...。
昼間からブラブラしているが、一応仕事を持っているのが私にもわかる人達がいます。
サダルストリートやニューマーケットをうろつく良くないインド人です。


日本人が歩いていると、
馴れ馴れしく声を掛けてきて非常に分かりやすい英語でフレンドリーに
楽しい話をするのですぐに分かります。
こういう人についていくとロクなことになりませんが、
彼らはこういうことをするのが仕事でもある反面、
暇で仕方がないから日本人に声を掛けている部分があるようにも見えます。
何せ一日中サダルでだらだらだらだらしています。
貴重な人生について何か考えないのでしょうか。


こういうインド人のほとんどは若者ですが、もういい歳をしたおじさんが声を掛けてきて、
「僕の弟は日本で働いているんだよ。このあたりを案内してあげよう。」
と言ってぼったくりの土産物屋に連れていくのを見ると、
こんな下らないことをしてないで真面目に働けばいいのに、
と余計な心配をしてしまいます。


聞いた話なのですが、こういう人達は地元のベンガル人ではなく、
ビハール州から出稼ぎに来たビハール人なのだそうです。
それが本当かどうかを確かめることは出来ませんが、
お客さんをニューマーケットに案内していた時、
寄ってきたインド人がいたので「こういう人はビハール人ばかりらしいですよ」
と日本語で話したら、「俺はビハール人じゃねえ!」
と英語で返してきたので、やはりビハール人ばかりなのでしょう。


しかし、


こんなインド人でもなんだか気楽な人生に見えて羨ましくもあります。
私は30も半ばを過ぎた男ですが、世間を知らない油断した面構えがカモに見えるのか、
日本でよく声を掛けられます。駅を出た瞬間「道に迷っているんです。」
と助けを求める水商売風のお姉さん、目の前の道を塞いで
「手相の勉強をしているので見せてもらえませんか?」
とニヤニヤ笑う女、インチキアンケート、マルチ商法
さすがに「財布を落としたので帰りの電車賃2千円を貸して下さい。」という
寸借詐欺の男に出会った時は、まだこんなことをやっている人がいたのかと驚きました。
成功しても単価が低すぎると思うのですがどうでしょう。


実はこういう仕事をする末端の人達の労働時間はかなりのもので、
上から厳しいノルマが課せられ精神的なプレッシャーがあり、
また提示されている歩合給は高くとも実現不可能レベルなため、
実際の稼ぎはたいしたことがなかったりするそうです。
普通に働いた方がいいですね。


また、割りと有名らしいですが、きれいなお姉さんが絵の展示会です
と言ってウブな男を誘い込み、二束三文のコピー絵画にシリアルナンバーだけを振って50万だの100万だので売る夢のような商法がありますが、お姉さんのノルマが未達の場合、
休日も無給で朝から晩までマッチ売りの少女のごとく路上で呼び込みをするそうです。
日本で働くのは、本当にきついです。


東京の御徒町でインチキ画廊のお姉さんに声を掛けられたことがありますが、
発音が少しおかしいので聞いてみると、中国から来た若い女性でした。
日本語ペラペラになるまで頑張って勉強して日本に来たのに、
絵画詐欺の末端労働者になるとは人生って複雑なものだなと思いました。


インドのブログではなく日本の詐欺商法の話になってしまいましたが、
同じインチキな仕事をするにしても、貧しいが心や時間に余裕のあるインドと、
追い詰められた人生だが金ですべてが手に入る日本、どちらが良いでしょうか。




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