今日はインドの教育と神様のはなし。

 インドの教育と神様のはなし  


ずっとずっと昔、インドのカースト制度が厳しい時代、神様の子供は神様、お坊さんの子供はお坊さん、大工さんの子供は大工さん、軍隊の子供は軍隊、商売している人の子供は商売、漁師の子供は漁師というように、親の職業を子供が継がないといけない時代がありました。このカースト制度を大きく分けるとバラモン(僧侶)・ケットリヤ(軍隊)・バイシャ(商売人)・スードラ(掃除や洗濯等をする人)の4つに分かれます。
ところで『神様の子供は神様』ということからわかるように、インドにはたくさんの神様がいます。お寺の前では神様グッズがたくさん売られ、神様のファミリーを見ているようです。
その神様のなかでも、人気があるガネーシャという人間の体に象の頭をもつ、知恵と学問と繁栄の神様がいます。ところで、なぜ象の頭なのか?ガネーシャは、シバ神と奥さんのパールバティとの間に生まれた、当初は人間の子供でした。ガネーシャは、シバ神がパールバティーと夫婦喧嘩をしてヒマラヤに家出をしている間に生まれていたため、シバ神は自分に息子が誕生したことなどつゆ知らず、家に戻ってきました。ちょうどその時、お祈りをしていたパールバティーは息子のガネーシャに「誰も入れてはいけませんよ!」と強く言っていました。ガネーシャは当然のことながら、初対面の人物がお父さんだとわかるはずもなく、不審者だと思って、家に入れませんでした。そこで自分の家なのに入れてもらえず、おまけに不審者扱いされ怒ったシバ神が争いのすえ、なんとガネーシャの首を切っちゃったんですね…(ひぇえええ〜)
そのことを知ったパールバティーは嘆き悲しみました。あせったシバ神は、なんとかしなければと思い、弟子達と全体会議を開きました。弟子の一人は、「北に頭を向けて寝ている人の頭を持ってきたら生き返りますよ」と言いました。もうひとりの弟子は「人間の頭を切って持ってきたほうがいい」と言いましたが、「もう一人、人間を殺さないといけなくなるしねぇ」と話合いをしていた時、一人の弟子が北に頭を向けて寝ていた象の頭を切って持ってきたため、その象の頭を体にのせて、生き返らせました。

そんなガネーシャはインドでも非常に人気の高い神様で、ガネーシャの生まれた日は、教育関係の場所のほか色々な場所でお祝いがされます。インドでは、蛇とか牛とか猿など動物のかたちをしている神様がいますが、このガネーシャのようにそれぞれのストーリーがあることがわかります。


この学問の神様がでてきたところで、インドの教育の話。
インドでは20年前であっても、親は子供に学校に行くより自分の仕事を学びながら、親の職業をついで欲しいという思いがありました。そこで政府とボランティア団体が、子供達に学校に勉強しに行かせるために、親は子供を働かせるだけでなく、学校に行かせた方がいいという活動を積極的に行っていました。そのなかで、子供が自分の親や近所の人に読み書きを教えると、学校が子供に点数をくれるという制度を作った時期もありました。


しかし、最近では急速に発展しつつあるインドにおいて、英語教育に力を入れているインドの教育課程、CBSEというカリキュラムで学ぶ私立学校が増えてきています。このカリキュラムで学ぶ学校はインドだけでなく、日本でいえば、横浜と東京にもインターナショナルスクールができており、学校教育の内容などがよくマスコミにとりあげられています。このように、いまやインド人の学校というだけでなく日本人の親にも大人気です。この人気の理由は、日本人の親も英語教育の重要性を認識していることと、インドの教育方針が子供の将来にとって非常に役立つものだからです。親にとって子供に早くから英語を学ばせたいと思うのは、インドだけでなく世界各国でも同じといえます。この英語教育の学校は、海外の大学に留学もしやすく、また学校の教育費も安いという点においても非常に人気があります。卒業後の選択として、インドの大学へ進学すると、物価も安いし他国の大学と比較しても授業料が安いということも人気のひとつです。


今、インドの優秀な子供達は、国立のIIT大学(インド工科大学)や、私立のKIIT大学など、インドでも名前の知られている大学にたくさん進学しています。しかしその一方では、田舎に行くと学校に通っていない子供達がまだまだたくさんいます。そこで、インド政府は25,6年前に、日本の小学校の6年間、中学校の3年間、高校の3年間の12年教育にあたる、インドの教育『10+2』といわれる教育のなかで、高校の教科書の内容を厳しくすることにより、トータル12年教育であったものを10年教育にし、子供達が早く高校を卒業できるようにしました。これは勉強に興味のない親にとって子供の学校を早く終わらせて、次のステップに進めさせたいという考えに答えるものでした。


この『10+2』の2年には、パソコンや電気機器などの修理などを専門に学ぶ、日本でいうところの技術専門学校のようなITIという専門学校と、大学に進みたいという子供達のために、カレッジという名前をつけて、政治などいろいろな勉強をするアート(将来は弁護士)、そしてコモス(将来は大体が税理士)、サイエンス(将来は看護師、医者など)というように3つの中から選択できるような学校があります。ここで、勉強の好きな子供達は、サイエンス、次にコモス、そしてアートという順番で選ぶことが多いようです。このカレッジと呼ばれる過程で2年勉強した人は、大学を受験できる資格がとれるため、大学へ行きたい人は、この2年間は必ず通って試験を受けて合格しないと卒業できないし、大学にも行けません。


インドは今、デリー、バンガロール、チェンナイ、ムンバイを中心として急速に発展をとげています。しかし東インドの都市、ウエスベンガルコルカタから南下したオディシャ州の各都市においては、生活はまだまだ苦しく多くの子供達が大人にまじって働く姿を、あちらこちらで見かけます。その結果、教育より労働を優先するため、子供達が学校に行くことが難しくなっています。このような子供達を学校へ生かせるために2004年、プリーからコナーラクへ12kmのところにCBSEのカリキュラムの英語教育学校『チャンドラ・セカール・アカデミー』を設立しました。現在は幼稚園から中学校まで完成しており、高校を設立するために準備中です。
プリーの近郊の子供達チャンドラ・セカール・アカデミーの子供達です


学校では言語をオディシャ州の言葉のオリヤ語、そしてヒンディー語、英語に加えて日本語教育の授業も取り入れており、ボランティアで日本語を教えてくれている日本人の方がいます。この学校の周辺は英語教育の学校がないので、プリーの田舎の子供達が早くから英語、日本語を学ぶことによって、子供達の未来の選択肢を増やすことが出来ればと思っています。また、このプリーが観光の町で多くの外国人が訪れることもあり、子供達が英語や日本語を学ぶことによって、仕事にもつながると思っています。
日本語の授業で折り紙などを教えていますチャンドラセカールアカデミーの子供達。折り紙の授業



この学校を設立したダッシュ理事長の想いは『日本語教育を取り入れることによって、日本語と日本について理解を深めた卒業生が、日本語が読み書きができる必要性がある企業などで活躍するこを期待する』というものです。現在、インドには日系企業がたくさん進出してきており、特にオディシャ州は資源が豊富なこともあって、日系企業の進出先として注目されています。現地企業に転勤になった日本人家族の子供の入学先という点においても、日本語教育を取り入れている当校では、現地の子供達が日本語を話せるため、すぐに交流を深める事ができます。このようにして、ご家族のサポートもしていきたいと思っています。


また中学校レベルで日本語を勉強していると、高校を卒業した時に日本かインドかのどちらかの選択をすることもできます。日本語がわからないと、日本に留学したいと思っても、まず日本で語学学校に2年間通って、日本語検定試験に合格しなければ大学に行くことはできません。それはまだまだ経済状況の悪いインドの家庭の子供達にとっては、とても難しいことです。例えば、日本の円をインドのお金のルピーに両替すると、レートがいいのでお金持ちになりますが、インドのルピーは、いまだ日本で両替することすら出来ません。また換えることができてもお金は倍にはならないのです。またインドの人が、日本へ行くには日本での身元引受人をたてないといけないし、その人の収入状況などを書いた書類など、たくさんの手続きをして、ビザをもらうことになります。しかし、そこまでしてもなかなかビザがおりないこともあります。そのうえ、日本では留学生の就労制限もありますし、そのようなことからも、いくらインドの子供達が優秀であって、勉強する意欲があって、日本へ行きたいと強く願っていたとしても、インドのお金持ちの家庭の優秀な子供しかいけないという状況になっています。そのことを解決するためには、日本側のサポートが重要となってくるのではないでしょうか?


当校では、これからとりかかる事業のひとつに、現在は幼稚園から中学校までで行っている日本語の授業を、今後は現地カレッジの学生と大学生向けにつくるというものがあります。これは日本語を学び、インドで日本語検定試験に合格すれば、カレッジの学生であれば、すぐに日本の大学へ留学することが出来ますし、また大学生だと卒業後、すぐに現地日系企業で働くチャンスがもらえます。これは、子供達の苦労が減り、将来につながっていくことだと思います。
 

『チャンドラ・セカール・アカデミー』が、現在行っている事業に関して興味を持ってくださった方、また、一緒になって学校を盛り上げていってくださるボランティアの方を募集しております。まず、日本語教師の方、そして校内整備や高校の設立支援、学用品の提供などです。その他、ボランティア以外では教育費を払えない子供達の里親も募集しています。また、英語教育学校なので、日本の学校の休みを利用してプリーの観光を楽しみつつ、親子で英語の授業に参加してくださる方など大歓迎です。
チャンドラ・セカール・アカデミーの子供達と日本の方の交流




私達は、経済的状況により、学校に行けない子供達を一人でも多く学校に行かせるため支援をしていきたいと思っています。また、このような学校を将来的にはインド各地で作っていきたいと思っています。この学校との提携を考えてくださる方、このような学校づくりに興味がある方、気楽に窓口インド日本交流センターまでご連絡ください。E-Mail: ijfcj@yahoo.co.jp   
ああ IndiaJapan Friendship Center インド日本交流センター  
 
『チャンドラ・セカール・アカデミー』朝礼の様子。学校の詳しい情報はこちらです
           


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