コルカタの眠れない夜

 このところコルカタは暑い。

 時には気温が40度前後になるぐらい暑い。

 
 それで最近立て続けに女の子がサダルストリートの安宿からこちらに移ってくる。

 暑さがこもりがちな部屋がそろっている安宿街では、冷房がついている部屋は法外に高いし、

 ついていないとすればファンが(もし運良くまだ壊れていなければ)生暖かい空気をかき混ぜているだけなのだから、

 そりゃー寝るのにも苦労するというものだ。

 


 高級マンションの一室を借りてやっているサンタナコルカタシェアハウスの良さは、全室に冷房がついている事。

 
 もう一つは敷地内の公園の芝生が綺麗に保たれている事。

 


 夕食後の一番涼しい時間帯、この小さい公園の芝生を素足で踏みつけながら気持ちのいい風を体で感じていると、

 古代エジプトの壁画を思い出す。

 古代エジプト人が永遠の命を得た後の理想的な生活を描く壁画には、

 『家の中の庭で夕方イチジクの木の下、イシス女神がおこす魔法の風を気持ちよく味わう』というモチーフがあるのだ。

 
 古代エジプト人は永眠することになる部屋に金をかけるのを惜しまなかった。


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 古今東西、人間というのはそんなに変わらないものだ。

 夕暮れ時の風は気持ちがいいし、眠るところは快適なほうがいい。
 
 古代エジプトでも、21世紀のコルカタでもだ。